小児科|西川口えがおのクリニック|川口市西川口の小児科・皮膚科

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小児科

小児科|西川口えがおのクリニック|川口市西川口の小児科・皮膚科

小児科診療について

小児科診療について

小児科は子どもの多様な疾患に対応する総合診療科です。
小さなお子さまの病気は、症状の訴えが上手くできなくて、周囲に気付かれにくいという特徴があります。また、朝は元気だったのに半日でぐったりする、など進行が急であることも多いです。
感染症にかかりながら免疫を得て成長していく時期でもあるため、一生で最も感染症にかかることが多い時期ともいえます。子どもの病気は大人とは様々な点で異なるため、日ごろの状態と比較し、よく観察しておくことが大切です。
「いつもと違う」という、いわゆる「親の直感」も重要です。
同様に、かかりつけの病院でいつも診てもらうことも、症状の違いに早く気付いてもらえることに繋がります。

小児科の対象となる主な症状

発熱

お子さまが熱を出すということは、看病されるご両親にとって大変心配なことです。
ただ、環境温度によって体温が変動しやすいことも、逆に、高熱でもケロッと遊べたりすることもあります。

 ① 肌着など薄着にしてみる
 ② 頭や首の後ろ、わきの下、鼠蹊部などを氷まくらで冷やしてみる
 ③ ミルクや水分補給をさせる

などして、少し時間を置いてから再度検温しなおしてみましょう。
うつ熱など、病気ではない時には数時間で下がっていることもあります。

解熱剤について

発熱は感染症から体を守ろうとする防御反応となります。
また、熱の高さと病気の重症度は比例するものではありません。
高熱でも元気にすごせていれば定期的に熱さましを飲ませる必要はなく、coolingや有効な水分補給、栄養と休養をしっかりとらせることの方が重要です。

再診の目安

  • 熱で飲食や睡眠がとれずにぐったりしているとき
  • 咳や下痢、発疹や充血、痛みなど投薬のようするような症状の変化があるとき
  • 元気でも高熱が数日持続するとき  など

しかし、微熱でも、長く続く中で感染症以外の疾患がかくれている場合もあります。
特に、6ヶ月未満のお子さまは進行が急なことも多く、こまめな診察を心がけましょう。

嘔吐・下痢

嘔吐の原因…胃腸炎、ストレス時の脱水(感染症、遠足・運動会・遠出など疲労後)など

運動会後、疲れて帰ってきてそのまま寝てしまったら、夜中や朝から吐き始めて止まらなくなった…などの症状は、周期性嘔吐という予備力の少ない小児ならではの症状です。

※嘔吐や下痢など⇨脱水⇨気持ち悪く感じる代謝になる⇨吐き気で嘔吐を繰り返し⇨また脱水。 と、負の連鎖ループが止まらなくなるため。

注意が必要な症状

黄緑色の胃液を吐く

胆汁が混じる際は外科疾患を含めた消化管の通過障害の可能性

けいれん・意識がおかしい

髄膜炎など脳圧が上がっている可能性

異常な腹痛や血便・発熱を伴う。排尿が12時間以上全くない

急性腹症・高度脱水などの可能性

経口補水療法 ORT(飲む点滴)

嘔吐後少し少しすっきりしたころ30分後くらいから、最低でも3〜4時間以内に「有効な」水分補給を開始することが推奨されます。

ORTのポイント
  1. 国内ではNa濃度50mEq含有したオーエスワン(OS-1)など
    経口補水液が推奨。≒点滴と同等の効果
  2. 最初は粘膜にしみわたらせるように、
    ペットボトルのキャップ1杯程度の5mLのORSを3〜5分おき
    2〜3時間かけて子ども用コップ1杯程度が飲めるまで、ゆっくり進める
    嘔吐がなければ少しずつ1回量をペースアップし投与間隔を開けていけます。
  3. ORSの味を嫌がって飲まない方
    ⇨・レンジで少し温める冷やしてみる
     ・少量の果汁(りんごやブドウ等)をフレーバー程度に混ぜる
     ・風味の違うものを選ぶ(ゼリータイプは、塩味を感じにくく飲みやすい)
     ・根気強く励まし続けるのも重要
  4. ただし、普段ミルクでほぼ栄養補給をしているような0歳の乳児のお子さまは少量ずつ。頻回授乳の方法で、薄めない普通のミルクでいただいて大丈夫です。

やってはいけないこと
組成の薄いお水やお茶・ジュース・薄めたミルクを飲ませる

血管内の水分は薄まって脱水はどんどん進んでしまいます。
WHOなど欧米の国際基準;Na濃度50-90mEq /Lの経口補水液が推奨
✖️赤ちゃん用〜大人のイオン水;Na9〜23mEq程度
✖️ジュース;ほぼ0mEq

一度にたくさん飲ませる

腸蠕動が激しいと嘔吐を繰り返します。
ORSを嘔吐してしまっても効果はあるので続けて投与して大丈夫ですが、最初はお子さまが欲しがっても決して一気飲みさせず、少量ずつ頻繁に飲ませることがポイントです。

嘔吐症状が見られる際は、上記の応急対処をしながらなるべく早期に診察にいらしてください。
※下痢:便の様子は写真を撮って医師に見せてください。

発疹

湿疹

  • 小さなお子さまの皮膚は薄く、衣服の洗剤を変えた、など些細なことも原因に。
  • 肌のバリア機構が崩れる
    ⇨気道の炎症にもつながりゼイゼイしやすくなったり離乳食開始時のアレルギー発症にも感作しやすくなる影響。たかが湿疹と侮ることなかれ。
    生まれたての頃は特にせっけんの使い方1つから悩むもの。
    季節に合わせた対処などをご提案して参ります。
    0ヶ月からいつでも、ご相談ください。

蕁麻疹

  • つよい痒みを伴い、数時間で消えてしまう。
  • 言葉の説明だけでは伝わらないことも多いので、写真を撮っておくことをお勧めいたします。
  • 新しく食べたもの触れた植生による発疹は、それらの摂取・接触を中止して、早期に受診してください。
  • 特に、喘鳴など呼吸器症状や、急に繰り返す嘔吐など消化器症状を伴う蕁麻疹はアナフィラキシーなど重篤なアレルギー症状の可能性が高く、休日夜間診療所も含めたできるだけ早期の受診を検討しましょう。
    ・・・夜間など、当院の休診時間帯などに受診先に迷う際は、#8000 小児救急相談へご相談されることが安全です。

発熱を伴う発疹

  • 感染症の疾患もあるため隔離室へご案内いたします。
    来院時受付スタッフまでお声かけください。

咳・鼻汁・咽頭痛

  • 小児科診療所を受診されるお子さまで最も多いのが咳や鼻水などの上気道症状
    ⇨いわゆる「風邪」
  • 原因の多くがウイルスによるもの
    抗生物質は効きません(細菌ではない)
    ・・・基本的には安静休養免疫力を回復させてウイルスの排泄を待つのみで、回復していくのが風邪。軽症なので特殊な治療薬は必要ないのです。
  • 症状に合わせたお薬が必要
    ⇨よく眠る・食べる・休養する際に、熱を含めた風邪の不快な症状のために、十分な安静が得られないことが多い。早めの投薬で不快な症状を緩和して、治りを早くしてあげることが、免疫力の小さなお子さまにとって重要。
    小児の気道は過敏性が高く、長引くうちに喘息の発作肺炎に進行する場合も。
    風邪症状の経過で変化がある際は、その都度ご相談いただければ宜しいかと思います(ただし、不要な投薬は控える)。
  • 各症状は生体の防御反応でもある
    ⇨鼻水や咳が全く出ない状態を完全に望むことかえって治癒を遅らせることに。
  • 以前の症状でもらったお薬や、特に年上の兄姉からお薬を分けてもらう×
    中毒症状を含め危険なこともありますので行わないでください。
  • 他院ですでに処方されたお薬がある場合について
    名前の違う似たお薬が重複すると危険です。必ず事前に受付でお申し出いただいて、お薬手帳を提出されるようお願いいたします。

熱性けいれん(単純型)

5歳くらいまでの乳幼児期のお子さまの脳神経系は熱に弱く、高熱時に比較的けいれん発作を起こしやすいことがあります(有病率は7〜8%)。

  • 38℃以上の高熱が出て24時間以内におこりやすく5分程度で自然に治まる。
  • 脳などの中枢神経の腫瘍や髄膜炎など、明らかな原因となる病気がない。
  • 知能低下や脳障害など後遺症は残さない。
症状 白目をむいたり目線が合わない・全身が突っ張り硬くなる
ガクンガクンと手足を震わせたりする・呼びかけても応答はない
心配で慌てて抱き上げたくなりますが、刺激するとけいれんが長引いて危険なこともあるので、正しい対応が必要です。深呼吸をして落ち着いて対応しましょう。
  1. 刺激を与えないように、体をゆすったり、頬を叩いたり、抱き上げたりしないで、衣服を緩めます。
  2. 嘔吐することがあるため吐いたもので気道をふさがないように左側を下にして横向きに寝かせます。口の中に手を入れたり、何か噛ませようとしたりする行為は誤飲するなど、かえって危険なのでやらないようにしましょう。
  3. カーテンを閉め、部屋を薄暗くして、テレビなどを消して静かにして刺激しないようにします。
  4. けいれんがどれくらい続くか時計をみて把握(慌てると忘れるのでできればメモ)してください。
    左右差がないか目線はどこをむいているか、体のどの部分に起きているかも確認しましょう。
    動画を撮影することも記録に残り確実です。
  5. 3分以上けいれんが続き止まる様子がなければ救急車を呼ぶ準備を始めてください。
  6. けいれんかどうか判断が分からない、救急車を呼ぶことに躊躇する場合は
    #8000 小児救急相談に電話して相談してみましょう。
  7. けいれんが5分以内におさまり、その後の意識がはっきりしている状態であれば、直後の様子も動画撮影しつつ、自家用車等で医療機関を受診してください。
  8. けいれんがおさまっても意識や顔色が戻らなかったり、けいれんを再度繰り返したりする場合は、救急車を呼んですぐに受診しましょう。

注意したいこと

  • 解熱剤を使いすぎても、薬の効果が切れると熱が再上昇を繰り返してしまいます。
    けいれんは、発熱から24時間以内で、まだ高熱に体が順応しない時に、熱が急激に上がるタイミングで起こしやすいので、あまりむやみに解熱剤を使いすぎないことも重要です。
  • 抗ヒスタミン薬と呼ばれる鼻炎やアレルギーで使用される薬の成分は市販の感冒薬にも入っているくらいよく使われる風邪薬の一種ですが、高熱時に小さなお子さまではけいれんをおこしやすくなるので、6歳未満でけいれんをおこしやすいお子さまは特に、37.5℃を超えて熱が上がりそうになったら一時内服を中止して、38℃以上の高熱が出てから24時間経過するまでは使用を控えることも大切です。

インフルエンザ

症状

38℃以上の突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、咳、鼻汁、咽頭痛などで、およそ1週間で軽快します。

迅速検査 発熱の初期には陽性となりにくく、検査が不確かになる恐れ。
⇨陽性の人を陰性と判断して治療が遅れる、学校活動に早く復帰して感染を拡大。
極端に早期の検査はお子さまへの無駄な体への負担、社会資源の問題もあり推奨✖︎
38℃以上程度の高熱が12〜24時間経過したタイミングでの検査が最も望ましい。
主な合併症 気管支炎、肺炎、気管支喘息発作、脳症など。
インフルエンザ脳症 発症から48時間以内はful脳炎脳症のリスクがあり、投薬の有無に関わらず、異常行動が発症する可能性があります。
保護者の方が発症から48時間は目を離さないようにして、階段の近く、大きな窓の近くに一人で寝かせない、窓やドアに施錠する、などけいれんや飛び出しの異常行動に備えた注意をしておいてください。
出席停止期間 発症日を0日目として、発症後5日を経過し、さらになおかつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまでは登校(園)停止とされています。
治癒証明書の発行が必要な場合は、解除予定日又はその前日にいらしていただけると作成可能です。園や学校から指定の書類を忘れずにお持ちください。
隔離解除後も咳嗽が長引きやすく、投薬の調整が必要になることも多いので、お困りの症状が続く際はご相談ください。

その他、詳細は厚生省インフルエンザQ&Aもご参照ください。
インフルエンザQ&A|厚生労働省(mhlw.go.jp)

溶連菌感染症

主に「のど」の風邪ですが、リウマチ熱など全身の血管炎を来すこともある感染症です。のどの迅速抗原キット検査でも診断することができ、標準的には抗生剤を1日3回10日分内服し除菌します。
治療によって2〜3日程度でのどの痛みや発熱、発疹などの症状は治ります。

症状

発熱(38~39℃、微熱のことも)・強い「のど」の痛み・体や手足に小さくて紅い中毒疹・舌にイチゴのようなツブツブ(イチゴ舌)・頭痛・首すじのリンパ節の腫れ・腹痛や嘔吐など。

出席停止 抗生剤を3回分=1日分が飲み切られていて、解熱した状態で元気があれば登校可。ただし、まだ倦怠感が残るなど調子が悪いうちに早期に復学すると熱が再燃したり、回復が遅れやすいので、しっかり体も休養が取れて元気になってからの登園登校再開が望ましいでしょう。

再診の目安

  • 3日以上熱が持続する(他の感染の重複)
  • のどは真っ赤になり、食べ物を飲み込んだだけでも痛みます。飲食が全くできず、ぐったりするときや、口をあけてお子さま自身の指で縦に3本指が入らない開口障害がある場合などは、緊急の処置が必要になるため早急に医療機関を受診しましょう。
  • 2〜4週間後に急性糸球体腎炎の合併症がみられることがあります。
    当院では抗生剤内服終了の翌日に1回目、またその2週間後に2回目の予定で、尿検査のフォローをさせていただきます。
    その間にむくみ肉眼的血尿(コーラみたいな黒い尿)がみられる際は、早期に再診にいらしてください。
  • 中には劇症型溶連菌感染症というものがあります。
    「人喰いバクテリア」とも言われ稀な病気ですが、症状は発熱、手足の痛みから始まり、菌が全身に広がって、発症から多臓器不全に至るまで経過が数十時間と急激です。

以上のような経過の時は早期に再診ください。

急性胃腸炎・感染胃腸炎

胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、一部に食中毒など細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)が見られます。
手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染し、冬場に幼稚園や小学校などで集団発生することも少なくありません。ウイルス性胃腸炎は細菌性に比べて比較的軽症で経過しますが脱水は入院適応の最多の原因となるため、治療の主軸はご自宅での脱水予防になります(嘔吐・下痢の章を参照ください)。

ご家庭の感染予防

  • 吐しゃ物やオムツの処理はマスク手袋をして十分な換気を行う。
  • 次亜塩素酸ナトリウムを使用する(汚れた衣類の浸け込み、家具の床の清掃など)。
  • 患児は浴槽は使用せずにシャワーで済ませるか、入浴する場合は一番最後にして浴槽等をしっかりと洗う。
  • 食器やタオルの共用はしない。
  • 家族全員で手洗い・うがいを心がけましょう。

RSウイルス感染症

新生児発達フォロー外来・シナジスの項参照

中耳炎

小さなお子さまの耳管(耳と鼻をつなぐ管)は、まだ角度がそれほどないため、鼻水が垂れ込みやすく中耳炎になりやすい構造になっています。
ひどい鼻水が続いた後などに、熱が下がらずに機嫌が悪く、耳によく触るなどの様子がみられたら、中耳炎を起こしているのかもしれません。
軽症の場合は、鼻水を抑えるお薬などを使用し、自宅でのこまめな鼻吸引などで対応しても十分治ることが多く、また低月齢の乳児だとそれほど炎症を起こすスペースも少ないので、熱もなく耳を触るだけでは心配しすぎる必要はありません。
心配のあまり耳掃除を頻回にやりすぎたり、鼓膜観察の診察をしすぎたりしてもかえって余計な細菌を入れてしまって感染を惹起することもあるので要注意です。
急性中耳炎の際に症状によって抗生剤を投薬して観察する際は、元気になってからも油断せず、抗生剤の内服が終了するところで再診を必ずして鼓膜の回復状況を確認にいらしてください。治療不十分な状況では抗生剤を変更や延長することもあります。

予防 鼻吸引や鼻洗浄。鼻水が多い場合、耳に負担をかけないように、家庭用の鼻吸い器などで、一度に強い・長い圧をかけず、こまめに何度か吸ってあげると効果的です。手術を要するほど難治性の中耳炎の中には先天性の免疫不全症と関わるものもあるため、なるべく同じかかりつけ医療機関で治療を継続する方が、早期の発見につながりやすくなります。

川崎病

〜無治療の場合には3〜4人に1人の割合で冠動脈病変を合併〜

川崎病とは、乳幼児期に好発するお子さまの代表的な急性熱性疾患で全身の大小様々な血管に炎症をおこす血管炎症候群です。
通常、5歳以下の幼児に発症しやすく、東アジア人に多くみられます。
1967年に川崎富作氏によりこの疾患が発見されてから半世紀になろうとしていますが、いまだ明確な原因は不明です。

診断基準

5項目以上陽性であれば確定診断となり、治療を開始します。

  • (5日以上続く)発熱
  • 両側眼球結膜の充血
  • 口唇発赤、いちご舌
  • 発疹
  • 手足の硬性浮腫、掌蹠の赤み
  • 頸部リンパ節腫脹
無治療の場合 約25〜30%の割合で心臓の冠動脈に拡大性病変を合併し
20歳代壮年期に心筋梗塞発症突然死の危険因子となる。
治療の最大の目的 急性期に適切な治療で強い炎症反応を速やかに終息させ、血管病変の出現を抑制すること。治療法の研究は日々磨かれてきています。
  • 血液製剤であるγグロブリン大量療法が標準治療。全体の約80〜92%の患者様が免疫グロブリン治療で、1ヶ月後以降に血管の障害が後遺症として残る率は2.8%。
  • 一方、10〜20%の割合で治療が効きにくい症例も存在(不応例)。
    ⇨不応例は、約7倍もの高率で冠動脈障害を合併。

最新のガイドラインでは症状が5項目揃わなくても、疑い例の段階から積極的に治療をなるべく早期に始めて冠動脈疾患を減らす方針がとられています。
高熱が続き、体のあちこちが腫れたり、赤くなったりする際は、経過を丁寧に診ることが早期診断・早期治療に非常に有用です。

頭部外傷

小さなお子さまは頭の重心が重く、歩行も未熟なため、転倒による頭部外傷は、日常生活の中で遭遇が多いといえます。

受診が必要な症状(脳神経外科へ

  • 高いところ(身長の2〜3倍)から転落。
  • 一瞬でも意識を失った。
  • 強い外力がかかるなど比較的高エネルギーな外傷機転の場合。
  • けいれんや言語・呼吸障害があるとき。
  • 受傷部位がぶよぶよと腫れている。
  • 外傷でたんこぶができているだけで元気な場合、とにかくぶつけた部位を「氷のう」でしっかりひたすら1日中冷やすといった対応で様子を診ましょう。
    少しでも心配なことがあればいつでも相談にいらしてください。お子さまの状況によって必要な観察項目をお伝えし、必要があれば高次医療機関へご紹介いたします。
  • また、頭部外傷は2度目が起こらないように、ご家庭で事故防止に努めていただくことをお勧めいたします。
    事故に際しては、お子さまの発達段階にあわせた環境調整を見直しましょう。
    セカンドインパクト症候群;短期間(多くは1週間以内)に脳振盪を反復して受傷すると、命に関わるような脳のむくみ(脳浮腫)を生じることがあります(2回目がごく軽い衝撃でも)。

帰宅後の注意

  1. 激しい運動はさける(ぶつかったり、頭を振るような運動は✖️)
  2. 自動車など乗り物に乗っての遠出はさける
  3. お風呂は長湯せず、さっと洗うだけであがる
  4. 暴飲暴食をしない

便秘

*便秘の原因を生活習慣の中で丁寧に考えていくことが重要です。
大人同様に、栄養・睡眠・運動の3本柱をきちんと整えることが、解決の一歩です。

  • 体重はきちんと増えていますか?
  • 授乳回数は適正でしょうか?
  • 運動発達は正常範囲でしょうか?
  • 睡眠リズムは?
  • 離乳食の進め方は?
  • 便秘の経過は短期なのか長期なのか?
  • 排便の硬さは(ブリトリルスケールでの評価)?
  • 食欲は?
  • 水分補給や偏食は?
  • トイレトレーニングの進め方は?
  • 心理的な不安は?

便秘は個々の日常・病状に合わせて治療を選択し、しっかりと気長に継続していくことが肝要といえます。
たわんでしまった直腸から、いったん投薬の力も借りて便を空っぽにして、1〜2日に1度の排便が自力で出せることを目指し、一緒に生活習慣を整えていくようにしていきましょう。経過が長いほど治療期間を要します。
なるべく、気がついたら早いうちにご相談ください。

腸重積

腸重積(ちょうじゅうせき)は、赤ちゃんや幼児に見られやすい急性腹症です。
腸の一部が他方の腸内にめり込んで消化管の通過障害がおこります。腸の血液供給が途絶え、24時間以内に整復されなければ、腸壁の組織が壊死する危険があります。

症状 突然の激しい腹痛(間欠的に啼泣)嘔吐血便の3徴
七転八倒するような痛みと言われるくらい見たことない大泣きをしたかと思えば、ケロッとした顔で遊んでいる、など発作的に大泣きする間欠的啼泣が腹痛の初期症状のこともあり、お母さまの「何となくいつもと泣き方が違う」という勘が当たることもあります。イチゴジャムの様な赤黒い粘血便が見られたら早急に整復のできる施設で治療を開始しなければなりません。
治療

比較的全身状態もよく、発症から24時間以内⇨空気や造影剤、生理食塩水を用いて放射線透視下または、超音波下などで整復の方針。
発症から24時間以上経過して顔面蒼白などぐったりしているとき⇨整復で消化管に穴が開いてしまうリスクも鑑みて、手術にも切り替えられる施設での治療選択が必要。

停留精巣

うまれつき精巣が陰嚢内に固定がなく、鼠径部という太ももの付け根や腹腔内にある。
生下時4〜5%⇨1歳児約1%(低出生体重児ではより多い)と有病率が下がる。
…診察で手で引き下ろすと陰嚢内に入る移動性精巣などは、自然に降りてくることが多い。

1歳まで自然下降の無いものは⇨不妊・精巣捻転・精巣腫瘍のリスク↑
⇨手術などの治療要。こまめな健診で経過を見守る必要があります。
気になる際は2週間健診など、なるべく早期からご相談ください。
適切な治療タイミングを検討しご提案いたします。

アレルギー相談外来

アレルギーのご相談

当院では、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、通年性アレルギー性鼻炎、花粉症などアレルギー性疾患全般にわたって対応しています。
アレルギーとは、本来なら体を守るはずの免疫反応が、食物や花粉など体に害を与えないとされるものにまで過剰に反応してしまい、自身の身体を傷つけてしまう反応に変わってしまうことです。

問診の結果、アレルギーの症状が疑われる場合は、必要に応じて原因を特定する検査を行ったり、学校指導表の作成をしたりして原因除去の方針を立てます。食物アレルギーの食事指導、アトピー性皮膚炎のスキンケアの方法と軟膏の塗り方、喘息治療薬の正しい管理指導を行います。詳細は各対応疾患の項目をご参照ください。

学校生活管理指導表は、アレルギー疾患のあるお子さまが安心して通学・通園できるように症状や生活上の留意点などについて医師が記載し、学校や幼稚園・保育園へ提出するものです。病状変化を確認するため原則毎年提出が必要です。 ※前年の指導表の写しを一緒にご持参ください。

対応疾患

食物アレルギー

ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応があらわれる疾患です。

症状 皮膚やのどの痒み・蕁麻疹・激しい咳・ゼーゼーとした呼吸困難感激しい嘔吐・下痢など。
重症例⇨アナフィラキシーショック 血圧の低下・意識障害・呼吸循環障害など
命に関わる重篤な症状が急激に出現する危険な状態も。

新しいアレルギーの概念

乳児消化管アレルギー 湿疹は目立たず、頻回な嘔吐や下痢が主体のもの
口腔アレルギー症候群 年長になるにつれ様々な果実・野菜等に主に反応しやすくなり、口腔内違和感(喉のイガイガ、口の掻痒感、浮腫)を主体とし、花粉症との関連も。

〜本来は体に害はない食べ物にアレルギー反応を示してしまう原因に関して、詳細は不明ですが小児期に皮膚で湿疹など炎症やダメージがあると、家の中で食べ物のかけらに出会った際にそれを悪いものと勘違いしてしまい、その後その食べ物を食事として口から摂取した時に異物と判断して免疫反応が過敏に働いてしまうというメカニズムが考えられています。
つまり、日頃から皮膚をきれいに保つことが食物アレルギーの予防、治療に大切なのです。〜

治療の進め方

1

問診(発症時期、症状の時間経過、重症度の評価、対処、家族歴、これまでの接触歴など)。

2

必要に応じ血液検査を実施。入院での負荷試験など、状況に応じて専門施設へご紹介。

3

重い喘息やアトピー性皮膚炎などがあると、先にそちらの治療が落ちついてからでないと食物アレルギーの治療を進められないことがあります。

4

学校指導管理書の作成など、自宅や学校での除去方針の相談・決定。

5

自宅での負荷を中心に食物負荷試験など負荷方針を相談・決定。

6

外来での経過相談の継続。

7

アナフィラキシーの既往がある方にはアドレナリン自己注射液を速やかに使用することが重要で、資格のある医師の指導の下に指導、処方が必要になります。 ※当院で処方可能です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

かゆみの強い湿疹。良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す、皮膚のアレルギー性の炎症疾患です。乳児湿疹から移行する場合も。

症状 顔や頭がカサカサして赤くじくじくした湿疹に。びらんやかさぶたも。
目や耳の周り、首、ひざやひじの関節内側など特徴的な部位に乾燥の強い皮疹。
適切な治療が行われないと繰り返す炎症の結果、黒ずんだ色素沈着をきたす。
悪化因子 食べ物、ダニやハウスダスト、花粉などの環境要因や、汗、空気の乾燥など。
治療の進め方

1

「よく落としてよく保湿する」をキーワードに。洗浄の工夫や衣服の調整など環境整備を相談。

2

ステロイド外用を中心に塗り方の工夫も含めた投薬管理を行っていきます。

3

命に関わるような重症アトピーは速やかに高次専門医療施設へのご紹介も

ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

気管支喘息

気管支喘息

空気の通り道である気道がアレルギー性の炎症を慢性的に起こしていることで、常に気道がただれて過敏になり、発作を引き起こしやすい状態になる疾患。

悪化因子 感染、花粉・ダニ・ハウスダスト・ほこり・喫煙・ペット・線香などの煙・気候変化、ストレス。
症状・機序
  1. アレルゲンなどの原因に曝露される。
  2. 発作的に気道が収縮し、気道内壁のむくみも強くなる。
  3. 気管内の分泌物(痰など)が増えて、より気道が閉塞する。
  4. 息が吐けなくなり、ゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、ひどい咳などの強い急性発作が起こります。
  5. 急性発作を繰り返すうちに、気道炎症が瘢痕化する。
治療 ガイドラインに従って、発作が起こりにくくなるようにアレルギー反応を抑える投薬など。
発作を繰り返し、瘢痕化した気道炎症には、ステロイド薬を用いたり、など段階に応じたSTEP管理で計画的に治療を進めていきます。
「発作がないから治療をやめる」ではなく、「発作がおこらない気道を再構築していく治療」です。最低3ヶ月〜数年継続が必要です。

喘息性気管支炎

もともとお子さまは気道の過敏性が高く、風邪をこじらせるとゼイゼイしやすく、喘息と同じような病態になることが多いです。「喘息がちだね」と言われたり、吸入など喘息同様の治療が行われますが、何度も発作を繰り返すうちに本格的な気管支喘息になる方もいます。発作程度を見極めて治療を進めていくため、なるべく統一した医療機関での通院・治療をお勧めいたします。

喘息の3本柱
  1. 早い時期に正しい知識をつける。
  2. お子さまの環境要因を整備する。
  3. 正しい診断に基づいた治療を始める。

季節性・通年性アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症・慢性鼻炎など)

通年性アレルギー性鼻炎 一年を通して症状が出るタイプ
季節性アレルギー性鼻炎 特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症

近年、アレルギー性鼻炎をもつお子さまの増加と発症の低年齢化が報告されています。
主原因は、ダニ、ハウスダスト、ペット、花粉等(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ハンノキなど)。

当初はお子さまの鼻腔の状態や合併する症状を診ながら投薬治療をしていきます。
年単位の治療が継続された方で6歳以上の方では、症状や検査結果に応じて、舌下療法といった新しい減感作療法にSTEP UPを検討もできます。

舌下療法

  • 内にアレルゲンを取り込み、徐々に慣れさせることで体質改善を目指す新たな治療法です。
  • 舌の裏に治療薬を毎日ご自宅で服用していただきます。
  • 5年間毎日継続して寛解(治ったと同じ状態)を目指します。
  • 治療を開始して数ヶ月後から効果が期待できます(即効性のあるものではございません)。
  • 適応:スギ花粉またはダニの鼻炎と診断された方で、薬物療法のみで症状やQOLを十分にコントロールできない方、アレルギー性鼻炎の寛解をご希望される方

※ただし、すべての患者様に同様の効果が期待できるわけではないことをご了承ください。
アレルギー性鼻炎は、鼻や目のつらい症状のみならず、口呼吸から風邪をひきやすい・頑固な症状から学習や睡眠に支障をきたす、など生活の質を落としてしまうことがあります。
お子さまに気になる症状がみられたら、お早めにご相談ください。