予防接種
予防接種
皆様VPDはご存知ですか?Vaccine Preventable Diseases つまり、「ワクチンで防げる病気」のことです。日本は他の先進国に比べVPDによる健康被害が多く見られると言われます。
長く日本では使用できなかったワクチンが多く、ワクチン接種率の低さがその原因と考えられます。
ワクチンを接種する大切な目的は、次の2つをあげることができます。
※お忘れになるとお受けできませんので、必ず全てご記入の上、当日にお持ちください。
公費で受けられるもの
生後2ヶ月から開始。4〜8週間隔で3回接種します。
3回目から7ヶ月以上あけて1歳頃に4回目(4歳までに終了)を追加摂取して完了です。
乳幼児期に敗血症や髄膜炎、喉頭蓋炎、クループなど重症感染症を起こす菌です。
ヒブワクチンが導入される前は、日本の小児の細菌性髄膜炎の10〜20%がヒブによるものでした。
ヒブによる髄膜炎の致命率は先進国でも3%で、重篤な後遺症(運動障害、難聴など)が残ることも多いです。
生後2ヶ月から開始。4~8週間隔で3回接種します。60日以上のち、標準的には1歳から1歳半に4回目(5歳までに終了)を追加接種して完了です。
乳幼児期ヒブ同様、敗血症や髄膜炎などの侵襲性感染症を起こします。2%の子どもが亡くなり、生存した子どもの10%に難聴、精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症が残ります。
肺炎や中耳炎の原因菌としても多く、高齢者の一般的な肺炎の原因で最も多い菌のひとつです。
生後2ヶ月から開始。3~8週間隔で3回接種します。
3回目から標準的には1年から1年6ヶ月後に4回目(7歳半までに終了)を追加します。
就学前の3種混合(任意接種)、11歳から2期(3種混合任意へ変更可)の追加があります。
4種とは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(5種ではHibも追加)を指します。ジフテリアとポリオは国内での野生株感染はほとんどありませんが、世界的には感染が流行している地域もあり、海外渡航時または渡航者からの輸入感染対策が注目されています。百日咳は乳児では重症の咳や呼吸困難、脳症により命に関わることもあります。破傷風は怪我をした微細な傷口から菌が入り、痙攣や前進性の筋強直から呼吸不全をきたす死亡率の高い疾患です。
生後2ヶ月から。
初回から4週以上あけて2回目、その後1回目から20〜24週あけて3回目追加接種が標準的な方法です。定期接種では1歳未満のうちに完了します。
母親からの出産時に感染する(垂直感染)と、血液や体液によってうつる(水平感染)の2種類の感染経路があります。全ての年齢に水平感染の可能性があり、園での集団生活やコンタクトスポーツ(サッカー、柔道など)での感染も注意。キャリアの家族がいる場合、体液に触れる機会の多い仕事(医療従事者、保育職員など)に就いている人は、特に接種が推奨されます。
生後6週以降から14週6日までに初回を開始。
※ロタリックス(1価)2回・4週以上間隔をあけて・生後24週までに終了、1回1.5ml
・腸重積の観察回数が減る。2回で済む。
※ロタテック(5価)3回・4週以上間隔をあけて・生後32週までに終了、1回2.0ml
・ロタウイルス株5価カバーできる(但し1価でも十分な免疫効果証明あり)。
月齢が上がるほど抵抗も大きい。3回投薬が必要。
感染力が非常に強く、乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因のひとつで、脳炎・脳症の原因ともなります。嘔吐や下痢がひどく水分がとれなくなると重篤な脱水状態になります。脱水を防ぐための水分補給として経口補水液や点滴が治療の中心になります。
初回予防接種後1〜2週間くらいの間は腸管の一部が腸管の中に入り込む「腸重積」をおこすリスクが増える(乳幼児10万人あたり6人)ことが海外で報告されています。
腹痛で激しく泣く・機嫌が悪いなどの症状が周期的にみられる、お腹がはって、ぐったりする、顔色が悪い、イチゴジャムの様な血便、繰り返す嘔吐の症状⇨速やかに医師の診察を受けてください。
1歳までに接種します。標準的にはヒブ、肺炎球菌、4種混合の接種がひと段落する生後5ヶ月以降に接種することが多いです。
結核は成人では肺結核の長引く咳や熱が有名ですが、乳児では全身に結核菌がめぐって髄膜炎や粟粒結核という致死的な疾患を起こしやすいです。
日本は結核の中蔓延国で、先進国としては罹患率が比較的高い国です。
1〜2歳に初回接種をします。Ⅱ期は小学校入学前の年長さんの1年間に行います。
麻疹(はしか)は発疹と発熱を伴い、肺炎や脳炎などの合併症をきたし、非常に強い感染力があります。生命の危険や後遺症の恐れもあり、有効な治療方法がないため対症療法が中心となります。風疹は麻疹より比較的軽症で経過するため“三日はしか”とも呼ばれます。知らずに妊娠期のお母さまに接触してしまうと、胎児が先天性風しん症候群(難聴、先天性心疾患、白内障、精神運動発達遅滞など)を発症することがあり注意が必要です。
妊娠初期の感染率は非常に高く、妊娠前にワクチン接種を検討することが大切です。
1歳から3歳までに2回接種をします。
2回目は初回から、標準的には6ヶ月(最低3ヶ月以上)あけて追加接種をします。
水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって全身の発疹や発熱、肺炎や髄膜炎・脳炎など様々な症状をおこします。感染力が非常に強く、空気感染します。
生後6ヶ月から7歳半まで。標準的には3歳で2回(1〜4週間隔)、その後に約1年以上あけて4歳頃に1回追加接種(第Ⅰ期が完了)。
9〜12歳に第Ⅱ期の接種を追加します。
蚊が媒介する日本脳炎ウイルスの感染で、急性脳炎を引き起こします。半数以上の方が死亡、または精神障害などの重篤な後遺症を残す、有効な治療法のない重篤な疾患です。日本での発症はきわめて稀ですが、ウイルスを保有するブタは、西日本を中心に確認されています。
ワクチン接種により日本脳炎の罹患リスクを75〜95%減らすことができると言われており、忘れずに予防接種を受けることが重要です。
3種または4・5種混合ワクチンの追加として、11歳以上13歳未満に1回接種します。
ジフテリアと破傷風の追加予防接種として1回接種します。
第1期の予防注射から10年程度で効果が弱まるため、このDTワクチンは11歳時に接種することが望ましいとされています。
ただし、百日咳の免疫効果は4〜12年で低下するため、また集団免疫効果で百日咳患者への接触機会も少なく、抗体が下がりやすい現在、定期接種の2種混合(DT)ワクチンの代わりに百日咳含有の3種混合ワクチン(任意ワクチン)を追加接種に変更すると、百日咳感染の予防も可能です。
実際、諸外国では百日咳含有ワクチンが定期接種として含まれています。
9価ワクチン(シルガード®︎9)は、15歳未満に1回目を接種すると2回接種で完了することもできますので早めの接種開始が望ましいといえます。
HPV感染症とは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染する部位によって、子宮頸がん、肛門がん、膣がん、咽頭がんなどのがんや尖形(せんけい)コンジローマなどの原因となるウイルス感染症です。
いずれも性交渉を通じた感染経路が主です。子宮頸がんは40歳未満の女性で2番目に多く、年間約10,000人が子宮頸がんを発症し、2,700人以上が死亡しています。
子宮頸がん検診+性交渉開始前のワクチン接種で子宮頸がんの予防につながります。わが国では、現時点で3種類のHPVワクチンが承認されています。
2価ワクチンと4価ワクチンは子宮頸がん全体の50〜70%の原因を占めるHPV16・18型を、9価ワクチンは2021年に発売され、子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーします。2020年には肛門がんや尖形コンジローマの予防を目的として9歳以上の男性にも4価ワクチンを接種できるようになりました(任意接種)。
任意;自費ワクチン。一部助成も。
ガーダシル®︎ 9歳以上の男女(欧米では20ヶ国以上定期)。
1歳から接種開始し、4週以上あけて2回目の追加ができますが、標準的にはMRワクチンと同様に1歳頃と5〜6歳頃の2回接種が薦められています。
※川口市では現在委託医療機関にある予診票を利用し、一部助成(3,000円)で2回接種可能。ワクチン接種後2ヶ月間は妊娠を避けてください。
ムンプスウイルスによる伝染症感染で、発熱や耳下腺の腫れが特徴です。頭痛をきたす髄膜炎や難聴や精巣炎など重い合併症もあります。このうち感音性難聴は、いったん起こすと聴力の回復が難しく、その後の日常生活や社会生活にも影響が出てしまう重大な合併症です。
有効な治療方法がないため、対症療法が中心です。
5歳から7歳までの就学前に3種混合ワクチンの追加接種が推奨されています。
また、11歳頃の2種混合ワクチン⇨3種混合ワクチンへの変更もよいとされています。
具体的には、就学前(5〜6歳;年長児)のお子さまは定期接種のMRワクチンⅡ期と同時接種を、11〜12歳のお子さまには定期接種のⅡ種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンの接種をお勧めします。いずれも任意接種のため接種希望の場合は、事前にご相談ください。
4種混合に入っているジフテリア、百日咳、破傷風(ポリオ以外)について追加接種します。
4種混合ワクチンの百日咳に対する予防効果は4〜10年程度で減弱します。
2018年および2019年の感染者報告によると、百日咳に感染した人のうち6割以上が小中学生で、小学校に上がる前(5〜6歳)での追加接種、もしくは、2種混合⇨三種混合への変更をお勧めします。
従来の経口生ポリオワクチンは、ワクチン株による麻痺が生じるため、安全性の問題から2012年以降は不活化ポリオワクチン⇨4種混合ワクチンが定期接種として接種されるようになりました。
一方、不活化ワクチンによる免疫効果は、4年で抗体価が防御レベルを下回る可能性が示唆されており、厚生労働省は5回目の追加接種の導入を検討中です。
4〜6歳の時期にポリオ含有ワクチンの追加接種を行うと十分に抗体価が上昇することが知られており、世界ではこの時期に2期としてポリオワクチンの追加接種が行われています。
麻痺などの中枢神経症状が見られ、小児麻痺、急性灰白髄炎などとも言われます。
日本ではワクチン使用から1980年より患者の発生はありません。しかし、海外では今なお流行が持続しており、社会のグローバル化により感染リスクが高まると危惧されます。ポリオウイルスに対する根治薬はなく、症状に応じた対症療法しかありません。
生後6ヶ月以上13歳未満は年2回、13歳以上は通常年1回接種します。
※重症の卵アレルギーのある患者様は、念のため主治医の許可やご相談をしていただいてからお申し込みください。
また、初回ワクチンで卵未接種の方は、食べられるかどうか確認後にお申し込みください。
対象
RSウイルス感染流行初期に
シナジスは遺伝子組み換え技術によって作られた、RSウイルスに対するモノクローナル抗体です。
ワクチンではありませんので、通常の予防接種と同時に注射が可能です。
抗体そのものを体内に取り入れ、RSウイルスの増殖を防ぎます。
翌年の春頃まで定期的な接種(1ヶ月に1回)が必要になります。
ハイリスク児のRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制します。
接種をご希望の方は、お電話もしくは受付でご予約を承っております。
2024年度のRS流行期は4/1〜開始の予定です。
当院でシナジスの接種をご希望の方は、主治医より紹介状をお持ちの上、今年度接種対象者であることの確認をさせていただいてご予約をとらせていただきます。